平成10年8月19日
携帯電話・PHS利用マナーに関する意識調査

 近年、携帯電話やPHSといった移動体通信は急速に普及し、それに伴い、使用時のマナーやモラルが問題となってきています。
 携帯電話やPHSの事業者が加盟する社団法人電気通信事業者協会(東京都港区、会長:西本 正)では、こうした背景の中、一般の方々を対象に、公共の場や自動車運転中の携帯電話・PHSの使用状況や、利用者のマナー・モラルの意識と現状を探るため、全国9都市の16〜59歳の男女個人1300名を対象に意識調査を行いました。

 その結果、公共の場での携帯電話・PHSに迷惑感を感じている人は多く、利用者の側もある程度周囲に気を使ってはいるものの、まだまだ利用者のマナーやモラルを向上させるべきであると考えられていることが分かりました。なお、公共の場では携帯電話・PHSの使用を禁止すべきであるとの意見は少数派でした。また、自動車運転中の使用に関しては、「危険」との認識が圧倒的ですが、「電源を切る」など根本的な対策を行っている人は必ずしも多くないことが分かりました。


 調査の概要 
調査対象 16〜69歳の一般男女個人
調査地域 全国9都市
(東京30km圏、大阪30km圏、札幌、仙台、金沢、名古屋、広島、高松、福岡)
標本抽出方法 NTTハローページより無作為抽出
回収数 1300サンプル
(東京30km圏、大阪30km圏=各300、他の都市=各100)
調査方法 集中管理方式による電話調査法
実施日時 1998年5月7日(木)〜11日(火)

なお、調査対象者のうち、携帯電話・PHS利用者は49.0%でした。

1. 公共の場における「携帯電話・PHS」に対する迷惑経験
「迷惑経験あり」という人が74.8%

 まず最初に、公共の場(電車やバスの車内、ホテルのロビー、飲食店など)における携帯電話・PHSの使用に関して、迷惑だと思った経験の有無を聞くと、「非常にある」(16.8%)、「時々ある」(57.9%)でした。一方、「あまりない」「全くない」という人は2割弱(19.0%)にとどまりました。
 なお、年齢別に見ると、「ある」という人は年代が高くなるほど多くなり、10代では59.7%、20代では69.4%、30代では71.5%ですが、40代以上では、8割を超えています。


2. 携帯電話・PHSの具体的迷惑内容
「話し声が気になる、大きい」(84.3%)、「呼び出し音が気になる、大きい」(70.3%)など、“声・音”が迷惑の内容

 次に、「迷惑経験あり」とした人に、実際に迷惑と感じる具体的な内容を聞くと、最も多かったのが「話し声が気になる、大きい」(84.3%)、次いで「呼び出し音が気になる、大きい」(70.3%)が続きました。
 以下は、「突然大声を出すので驚く」(55.2%)、「夢中で話しているので通行の邪魔になる」(44.6%)、「雰囲気が壊れる」(40.3%)などが続いています。
 公共の場では、やはり携帯電話の話し声や呼び出し音が、“社会の迷惑”になっていることがうかがえます。


3. 公共の場における携帯電話・PHSマナーに対する意見
電車・バスの車内では「車内の混雑状況に関わらず気になる」(58.4%)
が、「声を出していなければ気にならない」(80.6%)、「呼び出し音
がしなければ気にならない」(79.1%)など、使い方次第
「本人がマナーやモラルの向上を心がけるべきである」(93.4%)が大多数の意見
「公共の場では原則として使用禁止にすべき」(22.5%)は少数派

 次に、公共の場での携帯電話・PHSの使用マナーに対する意見を聞きました。
 まず、2つの項目をあげ、そのどちらかを選んでもらったところ、“公共の場全般”では、「その場の混雑状況に関わらず気になる」人が36.6%に対し、「その場の混雑しているときには気になる」人は55.4%と、“混雑しているときには気になる”という人が過半数でした。しかし、“電車・バスの車内”では、「その場の混雑状況に関わらず気になる」人が58.4%、「その場の混雑しているときには気になる」人が33.2%と逆転し、公共交通機関では状況に関わらず“気になる”という人の方が多いという結果でした。
 なお、公共の場全般、電車・バスの車内のいずれでも、「話をするのではなく留守番電話のメッセージを確認する、あるいはモバイル通信をするなど声を出していなければ気にならない」「バイブレーション機能などで呼び出し音がしなければ気にならない」という人が80%前後を占め、“声を出したり音を立てなければ気にならない”という人が多数派のようです。
 一方、「公共の場では原則として使用禁止にするべきである」と「かけ方、使い方の問題で一概に禁止する必要はない」のどちらかを選んでもらったところ、“使用禁止”派は22.5%と少数派で、“禁止する必要はない”という人が4人に3人(75.0%)でした。
 また、公共の場での携帯電話・PHS使用に対する方針をいくつかあげ、その是非を聞いたところ、「本人がマナーやモラルの向上を心がけるべきである」(93.4%)という意見が圧倒的に支持され、「ホテルや飲食店が使用禁止を推進すべきである」(14.4%)、「通信事業者が使用禁止を推進すべきである」(8.4%)など“強制的禁止”を求める声や、「役所や警察など行政機関が注意を促して行くべきである」(20.9%)など“規制”を求める声は少数派でした。


4. 公共の場における携帯電話・PHS使用時の留意点
使う人の側のマナー──
「電源を切る」(54.3%)
「留守番電話にしておく」(36.6%)
「バイブレーション機能に切り替えている」(46.5%)
──迷惑度に比べ、やや遅れる対策

 携帯電話・PHS使用者(n=646)に対し、公共の場における携帯電話・PHS利用の際の具体的な留意点を聞くと、最も多かったのが「周囲に人がいないようなところに移動してかける、話す」(76.5%)で、以下、「話し声を小さくしている」(57.0%)、「自分からは発信しない」(46.3%)、「着信したとき、かけ直す旨のみ伝えて切る」(36.0%)があげられました。
 また、周囲に迷惑をかけない基本的な方法については、“必ず(状況により)”「電源を切る」人は54.3%、「留守電機能に切り替えている」人は36.6%、「呼び出し音をバイブレーション機能に切り替えている」人は46.5%という状況で、他の留意点に比べて決して多数派とはいえません。公共の場での携帯電話・PHS使用に迷惑を感じている人が8割以上いるのに対し、まだまだマナー改善の余地はあるといえます。
 なお、年齢別では、「話し声を小さくしている」という人は年齢が高くなるほど少なくなり、「公共の場にいるときは必ず電源を切る」という人は逆に年齢が高くなるほど多くなっています。


5. 自動車運転中の携帯電話・PHSに関する危険意識
「危険」とする人が95.0%

 一方、自動車運転中の携帯電話・PHSの使用について聞くと、「非常に危険」とする人が72.6%で、「やや危険」という人が22.4%で、合わせて95.0%の人が「危険」と認識しています。
 また、「危険」とした人に対し、運転中の使用を法律で規制すべきか否かを質問したところ、「本人のマナーやモラルで対応すべき」という人が過半数(52.6%)を占めたものの、「法律で規制すべき」という人も約半数(45.9%)いました。
 なお、携帯電話・PHSを利用している人でも「危険」とした人が9割以上(91.1%)を占めています(非利用者で「危険」とした人は98.8%)。
 いずれにせよ、自動車運転中の携帯電話・PHSの使用は「危険」である、というのはほぼ常識になっているようです。


6. 自動車運転中の携帯電話・PHS使用の留意点
「運転時には自分から発信しない」(64.9%)など消極的な対策は
行われているものの、「留守番電話にしている」「運転中のメッセージ
機能を利用」「必ず電源を切る」など根本的対策を行う人は少数派

 携帯電話・PHS利用者でかつ自分で運転をする人(n=509)に対し、運転時の携帯電話・PHS使用の留意点を聞きました。
 すると、「運転時には自分から発信しない」(64.9%)、「長電話しないようにしている」(52.6%)、「安全な場所に停車してから着信の応答をする」(51.1%)などが多くあげられました。これらの回答は、自動車運転中に携帯電話・PHSを使用していることが前提になっていることを示唆しています。
 しかし、「留守番電話にしている」(22.8%)、「運転時には運転中であることを伝えるメッセージ機能を利用している」(22.2%)、「運転時には必ず電源を切る」(20.4%)、「運転時には持たずに通話ができる機能(ハンズフリーマイク)を利用している」(9.6%)など、運転時には発信・受信を行わない人や、“ながら運転”をしないようにしている人は決して多数派とはいえない状況です。
 自動車運転中の携帯電話・PHSの使用を「危険」とする人が9割以上であるのに、多くの人が何らかの留意をしながらも使用している、というのが実態のようで、この問題に関しては、さらなる対策が必要であると考えられます。


 電気通信事業者協会では、これまでも「移動電話利用マナー委員会」による広告やポスターなどのキャンペーンなどを行い、携帯電話・PHS利用者のマナー向上を喚起する活動を行ってきました。また、“マナーモード”の搭載など、マナー向上のためにより使いやすい端末の開発なども行ってきました。電気通信事業者協会では、携帯電話・PHSの利便性を損なうことなく、よりよい使用環境や利用者周囲への配慮をより向上させるなど、移動体通信に関する環境の整備のため、今後もこうした活動や機能の向上のために、一層の努力を続けて参ります。