プレスリリース

平成22年度携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について~本体回収台数2年連続で増加~

2011年6月28日

社団法人電気通信事業者協会

社団法人電気通信事業者協会(TCA)と一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」として携帯電話・PHSにおける資源の有効利用について取り組んでいます。
TCAでは携帯電話・PHS事業者等の協力を得て、平成13年4月からMRNを立ち上げ、サービス提供事業者、製造メーカーに関係なく、使用済みの携帯電話・PHSの本体、電池、充電器を全国約9,000店舗ある専売店を中心に、自主的に回収する活動を推進しています。

また、リデュース(抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)については、CIAJが「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を制定し、製造メーカーにおける指針として製品アセスメントを実施する等の対応を進めています。

今般、平成22年度のリサイクルの実績に関するとりまとめが完了しましたので、お知らせします。

1. 平成22年度リサイクル実績と再資源化状況について

(1)リサイクル実績について

  平成22年度 平成21年度 平成20年度 平成19年度
  回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
本体 7,343 696 6,920 602 6,174 533 6,443 544
電池 10,085 198 9,188 191 8,388 167 7,198 145
充電器 6,120 461 6,255 467 4,776 355 3,706 250

注)充電器とはACアダプタ・卓上ホルダを示す。

MRNとして回収に努めた結果、平成22年度の本体の回収台数は、前年度実績から423千台増加(+6.1%)致しました。端末の多機能化・高機能化が進展し、通信機器として使わなくなった端末を別の用途で手元に保管し続ける利用者が増え続けているなかで、平成21年度からの増加傾向を維持した結果、回収台数の水準としても、734万台を達成し、直近の5年間の中では最高の数字を達成することができました。

近年、携帯電話・PHSの端末出荷台数は、平成20年度以降、概ね3000万台強で推移しており(平成20年度:3585万台、平成21年度:3143万台)、平成22年度は、3220万台でした(出荷台数データ出所:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会)。出荷台数が2.4%の微増にとどまったなかで、回収台数が6.1%の増加となったことは、MRNの地道な取組みが利用者に浸透し成果として現れてきていると考えられます。

また、電池の回収台数も引き続き増加しております。

(参考)年度別回収実績の推移

(2)再資源化状況について

端末に含まれる金属は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、銅などですが、金、銀、銅、パラジウムなどの金属は素材に戻し、再利用をしています。精錬の過程で発生するスラグは路盤材、湾岸施設(テトラポット中込材)などに利用されています。

また、金属以外の素材(プラスチック、ガラスなど)についてもリサイクル処理を実施しています。プラスチックは低温溶解により樹脂材となり、ハンガー等の日用品、プラスチック収納容器、玩具の筐体等に利用されています。

(3)自主的な数値目標に係る実績について

MRNによるリサイクル活動を推進するため、平成21年度から、自主的な数値目標を設定致しましたが、各数値目標に係る昨年度の実績は、以下のとおりとなりました。

今後も引き続きこれら目標値に向けて、維持・向上に努めてまいります。

指標 目標 実績 前年度(参考)
① リサイクル活動の認知度 70%(*1) 64.8% 72.1%
② マテリアルリサイクル率 70%(*2) 94.7% 95.5%
③ 回収率 30%(*3) 37.8% 35.5%
  • (*1) 「利用者の意識・行動に関するアンケート調査」により評価
  • (*2) MRNとしての端末本体のマテリアルリサイクル率(回収した端末から採取できる金属等のリサイクル率)
  • (*3) 事業者全体の回収率
    =「事業者全体の専売店等での回収台数」÷(「専売店等での機種変更」+「任意解約数」

2.利用者の意識・行動に関するアンケート調査結果について

リサイクルに関する実態を調べるため、携帯電話・PHS利用者約2,000人に対するアンケート調査を実施しました(添付資料1参照)。

  1. 過去1年間に買換・解約等により端末を処分したことがある人の割合は全体の14.3%でした。
    ※ 処分したことのない人の中には、買換・解約の際に端末をお手元に残された人、買換・解約等の機会そのものがなかった人の両方が含まれます。
  2. 端末処分経験のある人のうち、処分した端末は「1台前(直近まで使用していた 端末)」が、67.2%で最も多い一方、「2台前」が29.4%、「3台前」が10.8%等、古い端末を処分した人も、昨年同様、一定数見られました(複数回答)。
  3. 端末の処分方法としては、「専売ショップで引き取ってもらった」人が58.8%、「量販店で引き取ってもらった」人が11.8%であり、大半が店舗での引取りとなっている状況が見られました。
  4. 通信機器として利用中のもの以外に保有している端末がある人は全体の67.2%で、端末の高機能化を反映し、引き続き漸増傾向にあります。
  5. 通信機器として利用中のもの以外に端末を保有している人の保有理由(複数回答)を見ると、「保存しておきたいデータ(写真、メール、コンテンツ等)があるため」が40.0%と最も多く、以下、「通信機能以外の機能(アラームやデジカメ等)として活用」が29.4%、「コレクション、思い出として保存(端末への愛着がある)」が23.6%と続きます。これにより、端末が多機能化・高機能化しパーソナルツールになったことに伴い、端末に保存された様々なデータが端末使用後も必要とされていること、端末が通信機能以外の用途で二次利用されていること、端末への愛着が持たれていることなどが明らかになりました。
    一方で、「個人情報が漏れるのが心配」とする回答が16.2%あり、個人情報に関する懸念の大きさが窺えます。また、「どのように処分したらいいかわからないから」も10.4%ありました。リサイクルの認知度向上に向けて、一層の周知活動が必要であるほか、MRN参加店舗であれば適正な個人情報処理を行っていることについての踏み込んだ周知も必要と考えられます。
  6. 通信機器として利用中のもの以外の保有端末を今後「処分してもよい」「まあ処分してもよい」と回答した人の合計は、「1台前(直近まで使用していた端末)」でも46.9%、それ以前の端末では60%程度となるなど、潜在的な回収の可能性を示しています。また、データの移行や媒体へのバックアップが可能であれば、処分意向が高まることから、今後はこの面での取り組みも必要になると考えられます。
  7. 不要端末の処分方法についての自治体からのお知らせを見たことのある人は、10.6%であり、周知に関する自治体の更なる協力が期待されます。
    なお、「自治体からのお知らせを見たことがある」人の認知経路としては、「広報紙」が最も高く47.2%、「ゴミカレンダー」や「ゴミ分別マニュアル」は40%程度となっています(複数回答)。
  8. MRNによるリサイクルに関する認知度は、ロゴマークも含め、低下しており、今後の更なる周知活動の継続が必要だと考えられます。
    MRNの認知度:昨年度調査72.1%→今年度調査64.8%
    ロゴの認知度:昨年度調査21.2%→今年度調査17.8%
  9. また、今回の調査から新たに、スマートフォンユーザーについても、切り出して調査を行いました。スマートフォンユーザーは調査対象の約1割に過ぎないことから、今回は参考という位置づけではありますが、特徴的な点として、MRNの認知率が比較的高いにもかかわらず、通信機器として利用中のもの以外の端末の保有意向が高いことが窺われます。今後の増加が見込まれるこれらユーザーについては、引き続き注視することが必要だと思われます。

3.リサイクル向上に向けた今後の対応について

(1)認知度の向上等に向けた施策展開

MRNの内容等について、ホームページ・カタログ・取扱説明書・請求書同封物などにおける周知、専売店等におけるリサイクル紹介ポスターやステッカー等の掲示ならびに説明用ツールの配備、新聞・雑誌等の媒体広告の実施、マスコミ等の取材などの機会を捉えた訴求、イベント会場における回収活動などに引き続き力を入れていきます。また、ゴミとして処分する人を更に減らすため、ゴミの収集を行う自治体の周知協力が得られるよう引き続き働きかけを行なっていきます。そして、回収を促進するため、専売店等の店頭における買換・解約時の案内を強化していきます。

(2)回収機会の拡大

家電量販店、情報通信機器メーカー、電気通信事業者等の関係団体及びその会員企業により設立される予定の「携帯電話リサイクル推進協議会」と連携し、より多くの利用者接点において、適正な個人情報管理を行いつつ回収機会の増大を図るとともに、周知活動の強化を行っていきます。
※参考資料:「携帯電話リサイクル推進協議会の設立」(総務省報道資料)

(3)回収可能性を高める対策

  1. 端末内に保存・蓄積した情報やデータ(写真、メール等)に愛着を感じているという利用者の声に対する対策として、保存・蓄積したデータの新端末への移行やバックアップを可能とする措置を強化し、回収可能性を高めていくとともに、データの移行等に関する利用者への情報提供を行っていきます。
  2. 端末内の個人情報漏えいを心配する利用者の声に対する対策として、専売店等における確実なデータ消去や破砕機による端末の破砕(ボタンへの穴あけ)の実施を徹底するとともに、MRN参加店舗においては適正な個人情報処理を行っており安心して使用済み端末を預けていただけることの利用者への周知を強化していきます。

(4)3Rに対する取組み

  1. 「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に配慮した製品設計等を一層推進します(添付資料2)。
  2. マテリアルリサイクル率の向上を図るとともに、部品をリユースする可能性についても検討を進めていきます。

 

「モバイル・リサイクル・ネットワーク」への参加企業について

添付資料3のとおり。

モバイル・リサイクル・ネットワークロゴマーク

【本件に関する問合せ先】

・社団法人電気通信事業者協会(TCA)
業務部 矢橋 康雄 TEL:03-3502-0991
URL:http://www.tca.or.jp

・一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
サービス部 大川 努 TEL:03-5403-9358
URL:http://www.ciaj.or.jp

別添資料2
平成22年度 携帯電話・PHSにおける製品環境アセスメント評価の結果報告について

平成23年6月28日
一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
移動通信委員会

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、社団法人 電気通信事業者協会(TCA)と共同で、携帯電話・PHSにかかる資源の有効利用について取り組んでおり、移動通信委員会では、リデュース(削減)、リユース(再使用)、およびリサイクル(再生)について、「携帯電話・PHSの製品アセスメントガイドライン」を制定し、メーカーにおける指針としています。

今般、会員各社の協力を得て、平成22年度の製品環境アセスメントを実施しましたので、その結果を公表します。

1.アセスメントの概要

  • 実施期間  平成23年2~3月
  • 参加会社   11社
    NECインフロンティア(株)、NECカシオモバイルコミュニケーションズ(株)、カシオ計算機(株)、京セラ(株)、シャープ(株)、セイコーインスツル(株)、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)、日本無線(株)、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(株)、(株)日立製作所、富士通(株)
  • 対象機器   調査時点の各社の携帯電話・PHS端末、データ通信カード
  • 実施方法
    CIAJ移動通信委員会制定の「携帯電話・PHS端末の製品環境アセスメントガイドライン(第3版)の全評価項目を調査票により調査、集計。

2. 集計結果の概要

参加会社は平成21年度の13社から11社へ減少した。対象機器は携帯電話・PHS・データ通信カードで、各社とも3Rを積極的に推進していることがうかがえる。

機能増加やデザイン性の要求度がいっそう高くなるなか、アセスメントガイドラインを考慮した設計を継続推進することが求められている。

  1. リデュースの評価
    液晶の大型化や防水構造の搭載・通信速度の向上等、高機能化はさらに進み、デザインケータイ・コラボケータイのようなデザイン重視の端末も数多く企画されている。しかし、薄型化・長時間使用のニーズも強く、各社とも搭載機能増加分の容積・消費電力の増加を吸収して薄型化をすすめ、省資源化(小型化・軽量化)や省電力化に取り組んでいる。
    取扱説明書は、電子書籍化によって簡易版のみ同梱する簡素化が進んでいる。
    製品全体の容積・質量・コストの削減努力に伴い希少材料も削減されている。
  2. リユースの評価
    各社とも、製品および付属品の共通化設計、修理可能な分離分解しやすい設計に取り組んでいる。また、納入先仕様にあわせた共通ACアダプタへの対応に取り組んでいる。取り付けねじなどを統一し、種類と数のより一層の削減が進んでいる。
  3. リサイクルの評価
    端末の薄型化や防水構造化に伴い強度アップのため金属とプラスチックなどの複合材を使用している場合もあるが、各社とも可能な限りの複合材の削減や、筐体に貼付するラベル類の削減・相溶性材料の採用など、リサイクルを阻害する要因を積極的に排除し、材料や部品の質量・種類把握に努め、環境影響が小さな材料、部品の選択をさらに押し進めている。
    また、再資源化原料として利用が可能な材料部品にするための解体・分解が容易な構造の設計を推進している。
    貴金属、希少金属類を含む部品についてもその把握に取り組み始めている。
    また、従来から引き続き、二次電池本体にリサイクルマークや材質などを表示するとともに、製品本体及び取扱説明書などに二次電池を使用していることについての表示をおこなうなど、二次電池の回収・リサイクルを容易にするための取り組みもおこなっている。

3. 今後の予定

携帯電話・PHS・データ通信カードは、更に高機能化・薄型化・デザイン性重視の傾向は続くものと思われる。これは現在伸長しつつあるスマートフォンタイプでも同様である。

また、3Rに対する世の中の関心は国家的なレベルで一層高くなってきている。双方の要求を満足させるべく、引き続き製品環境アセスメントの内容を考慮した製品設計への取り組みが必要である。

今回の集計結果も踏まえ「製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、参加各社の携帯電話・PHSおよびデータ通信カードなどの、より一層の3R取り組みに向け活動を推進していく。

本件に関するお問い合わせ先

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
サービス部長
大川 努
TEL: 03-5403-9358

以 上

別添資料3
モバイル・リサイクル・ネットワーク参加各社(2011年4月1日現在)

通信事業者
株式会社NTTドコモ
KDDI株式会社、沖縄セルラー電話株式会社
ソフトバンクモバイル株式会社
イー・アクセス株式会社
株式会社ウィルコム、株式会社ウィルコム沖縄
販売会社
株式会社ビックカメラ
製造メーカー
NECインフロンティア株式会社
NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社
カシオ計算機株式会社
京セラ株式会社
シャープ株式会社
セイコーインスツル株式会社
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社
株式会社東芝
日本電気株式会社
日本無線株式会社
株式会社ネットインデックス
パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
株式会社日立国際電気
株式会社日立製作所
富士通株式会社
リプロ電子株式会社

以 上

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