プレスリリース

平成24年度携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について ~回収台数は微減~

2013年6月25日

一般社団法人 電気通信事業者協会

一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)と一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」として携帯電話・PHSにおける資源の有効利用について取り組んでいます。
TCAでは携帯電話・PHS事業者等の協力を得て、平成13年4月からMRNを立ち上げ、サービス提供事業者、製造メーカーに関係なく、使用済みの携帯電話・PHSの本体、電池、充電器を全国約10,000店舗ある専売店を中心に、自主的に回収する活動を推進しており、平成23年度までに累計で9,263万台を回収しています。

また、リデュース(抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)については、CIAJが製造メーカーにおける指針として「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を平成13年3月に制定し、製品アセスメントを実施する等の3R活動を推進しています。

今般、平成24年度のリサイクルの実績に関するとりまとめが完了しましたので、お知らせします。

1. 平成24年度リサイクル実績と再資源化状況について

(1)リサイクル実績について

  平成24年度 平成23年度 平成22年度 平成21年度
  回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
本体 6,606 639 6,965 666 7,343 696 6,920 602
電池 8,904 176 9,739 192 10,085 198 9,188 191
充電器 3,630 260 3,186 241 6,120 461 6,255 467

注)充電器とはACアダプタ・卓上ホルダを示す。

平成24年度の本体の回収台数は、前年度実績から36万台減少(-5.2%)いたしました。スマートフォンの普及等で、端末の多機能化・高機能化が進展し、通信機器として使わなくなった端末を手元に保管し続ける利用者が増え続けているなかで、利用者の皆様からの回収が難しくなっている状況を反映し、減少傾向が継続しました。

(参考)年度別回収実績の推移(過去10年、単位:千台)

(2)再資源化状況について

端末に含まれる金属は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、銅などですが、金、銀、銅、パラジウムなどの金属は素材に戻し、再利用をしています。精錬の過程で発生するスラグは路盤材、湾岸施設(テトラポット中込材)などに利用されています。

また、金属以外の素材(プラスチック、ガラスなど)についてもリサイクル処理を実施しています。プラスチックは低温溶解により樹脂材となり、ハンガー等の日用品、プラスチック収納容器、玩具の筐体等に利用されています。

(3)自主的な数値目標に係る実績について

MRNによるリサイクル活動を推進するため、平成21年度から、自主的な数値目標を設定致しましたが、各数値目標に係る昨年度の実績は、以下のとおりとなりました。

指標 目標 実績 前年度(参考)
① リサイクル活動の認知度 70%(*1) 60.4% 62.9%
② マテリアルリサイクル率 70%(*2) 73.3% 96.1%
③ 回収率 30%(*3) 21.7% 26.3%
  • (*1) 「利用者の意識・行動に関するアンケート調査」により評価
  • (*2) MRNとしての端末本体のマテリアルリサイクル率(回収した端末から採取できる金属等のリサイクル率:今回から熱回収分を除いた)
  • (*3) 事業者全体の回収率
    =「事業者全体の専売店等での回収台数」÷(「専売店等での機種変更」+「任意解約数」)

今回は回収率が目標値を下回り、前回との比較でも低下しましたが、これは、スマートフォンの急速な普及により、機種変更が増加する一方で、比較的高価格なスマートフォンが有する、高度で多様な端末機能や契約解除後も無線LANによる利用が可能である、といった特性から、機種変更時や解約時にリサイクルへの排出が進まなかったことが影響を及ぼしたのではないかと推測され、今後も引き続き周知強化等を通じて、一層確実な回収・再資源化に努めてまいります。

2.利用者の意識・行動に関するアンケート調査結果について

リサイクルに関する実態を調べるため、携帯電話・PHS利用者約2,000人に対するアンケート調査を実施しました。今年度の調査では、昨年度までは参考値として位置づけていた、スマートフォンのユーザーについても調査・分析を行いました。(添付資料1参照)。

  1. スマートフォンのユーザーは昨年度3割弱だったところ、今年度は43%にまで増加しました。
  2. 過去1年間に買換・解約等により端末を処分したことがある人の割合は、全体としては昨年とほぼ同水準の13%でした。ユーザー別ではスマートフォンユーザーが16%と従来型のユーザー(11%)と比較して若干高くなっています。
    ※ 処分したことのない人の中には、買換・解約の際に端末をお手元に残された人、買換・解約等の機会そのものがなかった人の両方が含まれます。
  3. また、処分方法としては、「専売ショップで引き取ってもらった」が昨年同様最も高く、58%でした。処分に際して、スマートフォンからスマートフォンに変更された場合の、「人にあげた」(22%)、「中古品として売却した」(27%)といった端末を何らかの形での再利用した比率が、従来型から従来型に変更された場合の「人にあげた」(4%)、「中古品として売却した」(8%)比率と比較して、大幅に上回っており、変更パターン別の処分行動の違いが明らかになっています。また、昨年と比較して、全体として「ごみとして捨てた」が8%から13%に上昇し、「中古品として売却した」も6%から10%に上昇していますが、スマートフォンユーザーは「ゴミとして捨てた」割合が低い(2%)反面、「中古品として売却した」割合が27%と高いことも特徴的です。
  4. 通信機器として利用している以外の端末の保有状況では、従来型からスマートフォン、スマートフォンからスマートフォンに変更した利用者の保有割合が高いことが目立ち、また、スマートフォンからスマートフォンに変更した利用者が、保有しているスマートフォン端末を実際に使っている割合の高さ(37%)が目立ちます。
  5. 通信機器として利用中のもの以外に端末を保有している人の保有理由(複数回答)を見ると、「保存しておきたいデータ(写真、メール、コンテンツ等)があるが移行できなかったため」が26%、「コレクション、思い出として保存(端末に愛着がある)」が24%、「特に理由は無いが手放し難い」が20%と続き、昨年度と大きな変化はありませんでした。
    「個人情報が漏れるのが心配」とする回答が15%あり、個人情報に関する懸念の大きさが窺えます。また、「どのように処分したらいいかわからないから」も10%ありました。データ移行の可能性の周知や店頭での支援、MRN参加店舗であれば十分な個人情報保護措置を講じられていることについての踏み込んだ周知やリサイクルの認知度向上のための一層の周知活動が必要であると考えられます。
  6. 通信機器として利用中のもの以外の保有端末を今後「処分してもよい」「まあ処分してもよい」と回答した人は、その保有端末が従来型の端末の場合は59%でスマートフォンの場合の40%を上回っており、また「処分したくない」「あまり処分したくない」と回答した人は、逆に対象の端末が従来型の場合は23%なのに比べてスマートフォンの場合は38%と大幅に上回っています。このことは、利用者の端末処分に当たっての意向が、処分端末がスマートフォンの場合、従来型の端末と比較して、処分方向には抑制的で、保有方向には積極的に働くことを示しています。このような傾向が今後も継続・進行していくのか、あるいはスマートフォンがある程度普及した段階で何らかの収束を見るのか、今後も注視していく必要があります。
  7. 不要端末の処分方法についての自治体からのお知らせを見たことのある人は、14%であり、今年4月に施工された「小型家電リサイクル法」により来年度は周知に関する自治体の更なる協力が期待されます。
    なお、「自治体からのお知らせを見たことがある」人の認知経路としては、「広報紙」が最も高く48%、その他「ゴミカレンダー」や「ゴミ分別マニュアル」が主な認知経路として機能しているようです。
  8. MRNによるリサイクルに関する認知度は、ロゴマークも含め、浸透が進んでおらず、引き続き地道な周知活動の継続が必要だと考えられます。
    MRNの認知度:昨年度調査 63%→今年度調査 60%
    ロゴの認知度:昨年度調査19%→今年度調査17%
  9. 端末リサイクルの意義やMRNの紹介を述べた文章を提示したうえで、今後の回収リサイクルへの協力意向を聞いたところ、全体で74%が積極意向(「とても協力したい」+「まあ協力したい」)を示したこと、スマートフォンユーザーでも71%が積極 意向を示したことから、このような積極意向をどのようにして実際のMRNへの排出行動に結びつけるかが、今後の課題と考えられます。

3.リサイクル向上に向けた今後の対応について

(1)認知度の向上等に向けた施策展開

MRNの内容等について、ホームページ・カタログ・取扱説明書・請求書同封物などにおける周知、専売店等におけるリサイクル紹介ポスターやステッカー等の掲示ならびに説明用ツールの配備、新聞・雑誌等の媒体広告の実施、マスコミ等の取材などの機会を捉えた訴求、ゴミの収集を行う自治体への周知協力依頼等を行なっていきます。そして、回収を促進するため、専売店等の店頭における買換・解約時の案内を引き続き強化していきます。

(2)回収機会の拡大

家電量販店、情報通信機器メーカー、電気通信事業者等の団体及びその会員企業により設立された「携帯電話リサイクル推進協議会」の関係団体との連携を深め、より多くの排出機会や利用者接点において、適正な個人情報管理を行いつつ回収機会の増大を図るとともに、周知活動の強化を行っていきます。

(3)回収可能性を高める対策

  1. 端末内に保存・蓄積した情報やデータ(写真、メール等)に愛着を感じているという利用者の声に対する対策として、保存・蓄積したデータの新端末への移行やバックアップについての利用者への情報提供や店頭での支援を強化していきます。
  2. 端末内の個人情報漏えいを心配する利用者の声に対する対策として、回収時における確実なリセットや破砕機による端末の破砕(ボタンへの穴あけ)等の実施及びこれらの運用管理を徹底するとともに、MRN参加店舗においては安心して使用済み端末を預けていただけることの利用者への周知を強化していきます。

(4)3Rに対する取組み

  1. CIAJメンバーの国内製造メーカー11社により、スマートフォンを含む携帯電話・PHS・データ通信端末を対象として「24年度 携帯電話・PHSにおける製品環境アセスメント評価」を2月~3月に実施しました。各社とも、スマートフォンの普及が進む中、機能アップをすると共に薄型化や軽量化を進め、「製品環境アセスメントガイドライン」を考慮した設計を行っており、3Rを積極的に推進している状況が確認されました。(添付資料2)。
  2. 携帯電話・PHSは、スマートフォンの普及に伴って高機能化・薄型化・デザイン性重視の傾向が強くなっていますが、本年4月1日より「使用済み小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(小型家電リサイクル法)が施行され、3Rに対する関心も社会的なレベルで一層高くなってきています。各社は、顧客のニーズと3Rの双方の要求を満足させるべく、「製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、携帯電話・PHSおよびデータ通信端末などの3R取り組みに向け、より一層の活動を推進して参ります。

4.「モバイル・リサイクル・ネットワーク」への参加企業について

添付資料3のとおり。

 

モバイル・リサイクル・ネットワークロゴマーク
URL:http://www.mobile-recycle.net

【本件に関する問合せ先】

・一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)
業務部 矢橋 康雄 TEL:03-3502-0991
URL:http://www.tca.or.jp

・一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
サービス部 大川 努 TEL:03-5403-9358
URL:http://www.ciaj.or.jp

別添資料2
平成24年度 携帯電話・PHSにおける製品環境アセスメント評価の結果報告について

平成25年6月25日
一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
移動通信委員会

一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、社団法人電気通信事業者協会(TCA)と共同で、自主活動組織「モバイル・リサイクル・ネットワーク」にて、携帯電話・PHSにかかる資源の有効利用について取り組んでいます。その一環として、移動通信委員会では、3R(リデュース(削減)、リユース(再使用)、リサイクル(再生))について、「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を制定し、メーカーにおける指針としています。

今般、会員各社の協力を得て、平成24年度の製品環境アセスメントを実施しましたので、その結果を公表します。

1. アセスメントの概要

  • 実施期間  平成25年2~3月
  • 参加会社:移動通信委員会 リサイクル検討WG  11社
    NECインフロンティア(株)、NECカシオモバイルコミュニケーションズ(株)、カシオ計算機(株)、京セラ(株)、シャープ(株)、セイコーインスツル(株)、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)、日本無線(株)、(株)ネットインデックス、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(株)、富士通(株)
  • 対象機器   調査時点の各社の携帯電話・PHS端末、データ通信端末
  • 実施方法
    CIAJ移動通信委員会制定の「携帯電話・PHS端末の製品環境アセスメントガイドライン(第3版)」の全評価項目を調査票により調査、集計。

2. 集計結果の概要

スマートフォンの伸長で機能アップすると共に薄型化や軽量化を進める中、アセスメントガイドラインを考慮した設計の継続推進が求められています。

参加会社は平成23年度と同数の11社、対象機器はスマートフォンを含む携帯電話・PHS・データ通信カードで、各社とも3Rを積極的に推進している状況が確認されました。

  1. リデュースの評価
    各社とも、通信速度の高速化や液晶の大型高精細化を進めているが、その中で薄型化や軽量化で省資源化を図り、消費電力の低減にも努めている。また、液晶強度の向上などで耐久性の向上にも努めている。希少材料削減の取組みも行われているが、部品メーカーに頼る面が大きく、希少材料削減は道半ばの状況である。取扱説明書は、電子書籍化によって簡易版のみ同梱する簡素化が進んでいる。包装材は、国内生産品は各社とも再生材を使用しているが、海外生産品では再生材の使用ができていないものがある。
  2. リユースの評価
    各社とも筐体とプリント板を容易に分解できる構造をとり、修理しやすい構造をとっている。一部、防水仕様の採用により、分解やプリント基板の交換に注意を要する製品が有るが、納入先毎に共通ACアダプタを共通化する対策を取り組んでいる。取り付けねじなどを統一し、種類と数のより一層の削減が進んでいる。
  3. リサイクルの評価
    一部のモデルで薄型化に伴う強度アップのために金属とプラスチックなどの複合材を使用している製品もあるが、各社とも複合材料の削減に取り組んでおり、再利用や機械粉砕処理などへの影響を考慮している。また、部材主成分と異なる材質の金属メッキ、塗装、樹脂コーティングなどの削減に取り組んでいるものの、デザイン面の要求から外観部品の塗装やメッキの廃止までは対応ができていない。
    一方で、再資源化原料として利用が可能な材料部品にするための解体・分解が容易な構造の設計を推進している他、貴金属、希少金属類を含む部品や、製品に含まれる鉱種の把握にも取り組んでいる。
    さらには、携帯電話・PHS端末における各社が自主的に行う事前評価(アセスメント)の基準とされるものとして、環境負荷軽減の製品設計指標である「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を制定している。
    又、二次電池本体にリサイクルマークや材質などを表示するとともに、製品本体及び取扱説明書などに二次電池を使用していることについての表示をおこなうなど、二次電池の回収・リサイクルを容易にするための取り組みをおこなっている。

3. 今後の予定

携帯電話・PHSではスマートフォンの伸長に伴って、高機能化・薄型化・デザイン性重視の傾向が強くなっていますが、3Rに対する関心も社会的なレベルで一層高くなってきています。本年4月1日より「使用済み小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(小型家電リサイクル法)が施行され、ますます3R活動に注目が集まっていることから、各社は、顧客のニーズと3Rの双方の要求を満足させるべく、引き続き製品環境アセスメントの内容を考慮した製品設計への取り組みが重要と考えています。

集計結果も踏まえ「製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、各社の携帯電話・PHSおよびデータ通信端末などの3R取り組みに向け、より一層の活動を推進して参ります。

本件に関するお問い合わせ

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
サービス部長
大川 努
TEL: 03-5403-9358

以 上

別添資料3
モバイル・リサイクル・ネットワーク参加各社(2013年4月1日現在)

通信事業者
株式会社NTTドコモ
KDDI株式会社、沖縄セルラー電話株式会社
ソフトバンクモバイル株式会社
イー・アクセス株式会社
株式会社ウィルコム、株式会社ウィルコム沖縄
販売会社
株式会社ビックカメラ
株式会社エディオン
製造メーカー
NECインフロンティア株式会社
NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社
カシオ計算機株式会社
京セラ株式会社
シャープ株式会社
セイコーインスツル株式会社
ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社
日本無線株式会社
株式会社ネクス
パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
株式会社日立国際電気
富士通株式会社
リプロ電子株式会社

以 上

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